「そろそろマイホームが欲しいな」と考えたとき、選択肢の豊富さや価格の手頃さから中古マンションに魅力を感じる方は多いのではないでしょうか。
しかし、期待と同じくらい「何から始めたらいいの?」「手続きが複雑そう…」「全部でどれくらいの期間がかかるんだろう?」といった、漠然とした不安もつきものです。
中古マンションの購入は、全体の流れと各ステップでやるべきことを事前に把握しておけば、決して難しいものではありません!
この記事では、資金計画から物件の引き渡し、さらには入居後の手続きまで、中古マンション購入のステップとそれぞれの期間を、専門用語もかみ砕きながら徹底解説します!
中古マンション購入の流れと期間の目安
本格的な解説に入る前に、まずはゴールまでの道のりを大まかにつかみましょう。中古マンション購入は、大きく分けて8つのステップで進んでいきます。全体像を把握するだけで、今後の見通しが立ち、不安が大きく和らぐはず!
購入までの全8ステップを紹介
中古マンションの購入は、一般的に以下の8つのステップで進行します。まずは、この大きな流れを頭に入れておきましょう。
- 資金計画・予算決め
- 情報収集・不動産会社選び
- 物件探し・内見
- 購入申込み・住宅ローン事前審査
- 売買契約の締結
- 住宅ローンの本審査・契約
- 残代金決済・物件の引き渡し
- 引っ越し・入居後の手続き
このように、購入はじっくりと段階を踏んで進んでいきます。焦らず、一つひとつのステップを確実にクリアしていくことが後悔しないためにもとても重要です!
情報収集から入居までの期間は「3ヶ月~6ヶ月」が一般的
「購入を決めてから、実際に入居できるまでどれくらい?」という期間の疑問は、誰もが気になるところです。
情報収集を開始してから物件の引き渡しが完了するまでの期間は、一般的に3ヶ月~6ヶ月が目安とされています。
- 物件探し~購入申込み
- 1ヶ月~3ヶ月
- 購入申込み~物件引き渡し
- 1.5ヶ月~2ヶ月
もちろん、物件探しがスムーズに進んだり、住宅ローンの審査が早く終わったりすれば、これより短くなることもあります。逆に、希望の物件がなかなか見つからない場合や、リフォームを同時に行う場合は、半年以上かかるケースもあります。
まずはこの「3ヶ月~6ヶ月」という期間を一つの目安として、ご自身のライフプランと照らし合わせてみましょう。
登場人物と役割を把握しよう
中古マンションを購入するには、あなた(買主)以外にも様々な専門家が登場します。誰が、どのような役割を担うのかを知っておくと、コミュニケーションがスムーズになります。
- あなた(買主)
- 物件の購入者。最終的な意思決定を行います。
- 売主
- 物件の所有者。個人である場合と、不動産会社(宅建業者)である場合があります。
- 不動産仲介会社
- 買主と売主の間に入り、物件の紹介から契約、引き渡しまでをサポートする専門家。買主側、売主側の両方に付くのが一般的です。
- 金融機関(銀行など)
- 住宅ローンの融資を行う機関。
- 司法書士
- 物件の所有権移転登記など、法的な手続きを代行する専門家。
- リフォーム会社
- 購入と同時にリフォームを行う場合に、設計や工事を担当します。
これらの登場人物と連携を取りながら、購入プロセスを進めていくことになります。特に、信頼できる不動産仲介会社の担当者を見つけることが、大きなポイントです。
【ステップ別】中古マンション購入の詳しい流れと各期間
それでは、ここから8つのステップを一つずつ、具体的に見ていきましょう。「何をするのか」「期間の目安」「押さえるべきポイント」を詳しく解説します。
STEP1:資金計画・予算決め(期間の目安:1週間~)
物件探しを始める前に、まずやるべき重要なステップが「資金計画」です。自分が「いくらまでなら無理なく支払えるのか」を正確に把握します。
- 自己資金(頭金)の確認
- 預貯金のうち、いくらを頭金として出せるか確認します。
- 住宅ローンの借入可能額の把握
- 年収や勤務先、勤続年数などから、おおよその借入可能額をシミュレーションします。金融機関のウェブサイトで簡単に試算できます。
- 毎月の返済額のシミュレーション
- 借入希望額と金利、返済期間から、毎月の返済額がいくらになるか計算します。現在の家賃や生活費と比較し、無理のない金額を設定しましょう。
- 諸費用の把握
- 物件価格以外にも、仲介手数料や税金などの「諸費用」がかかります。物件価格の6~9%程度を見込んでおきましょう。(詳細は後述)
予算を決める際は、「借りたい額」ではなく「毎月、無理なく返済できる額」から逆算することが鉄則です。今後のライフイベント(出産、子どもの進学など)も考慮に入れた、長期的な視点での資金計画を立てましょう。
STEP2:情報収集・不動産会社選び(期間の目安:2週間~)
予算が決まったら、いよいよ具体的な物件情報を集め、購入のパートナーとなる不動産会社を選びます。
- 希望条件の整理
- エリア、広さ、間取り、駅からの距離、周辺環境など、住まいへの希望条件を家族で話し合い、優先順位をつけます。
- インターネットでの情報収集
- 不動産ポータルサイトで、希望エリアの物件相場を調べたり、どんな物件があるのかをチェックしたりします。
- 不動産会社の選定・訪問
- 気になる物件を扱っている会社や、地域に詳しそうな不動産会社をいくつかピックアップし、実際に訪問して相談します。
不動産会社は、あなたの代理人として売主と交渉を行う重要なパートナーです。複数の会社と話してみて、担当者の知識量、提案力、そして何よりも「親身になってくれるか」を見極めましょう。「この人になら任せられる」と思える担当者に出会えるかが、満足のいく物件探しにつながります。
STEP3:物件探し・内見(期間の目安:1ヶ月~2ヶ月)
不動産会社の担当者と一緒に、希望条件に合う物件を探し、実際に室内を見学(内見)します。
- 物件の紹介
- 担当者から、希望条件に合う物件をいくつか提案してもらいます。
- 内見のアポイント
- 気になる物件があれば、内見の予約を入れます。土日は人気が集中するため、早めに連絡しましょう。
- 内見の実施
- 図面だけでは分からない、日当たりや風通し、騒音、建物の管理状態、周辺環境などを自分の目で確かめます。メジャーやスマートフォンを持参し、室内の寸法を測ったり、写真を撮ったりすると後で比較検討しやすくなります。
内見では、良い点だけでなく**「気になる点」もしっかりチェックし、担当者に質問する**ことが大切です。特に、共用部(エントランス、廊下、ゴミ置き場など)の清掃状況は、マンションの管理状態を知る重要な手がかりになります。平日の昼間と夜、休日など、時間を変えて周辺環境を確認するのもおすすめです。
STEP4:購入申込み・住宅ローン事前審査(期間の目安:3日~1週間)
「この物件を買いたい!」と決心したら、売主に対して購入の意思表示を行い、並行して住宅ローンの事前審査(仮審査)を申し込みます。
- 購入申込書の提出
- 不動産会社を通じて、「不動産購入申込書(買付証明書)」を売主に提出します。購入希望価格や引き渡し希望日などの条件を記載します。価格交渉をしたい場合は、このタイミングで行います。
- 住宅ローン事前審査の申込み
- 金融機関に事前審査を申し込みます。年収や自己資金、物件価格などから、融資が可能かどうかを簡易的に審査するものです。通常、3日~1週間程度で結果が出ます。
人気物件は、複数の購入希望者が同時に申し込むこともあります。事前審査に通っていることが、売主にとって「資金計画がしっかりしている買主」という安心材料になり、交渉を有利に進められるケースが多いため、購入申込みと事前審査は迅速に行うことが重要です。
STEP5:売買契約の締結(期間の目安:申込みから1~2週間後)
住宅ローンの事前審査に通り、売主との条件交渉がまとまったら、正式な「売買契約」を締結します。
- 重要事項説明
- 契約に先立ち、宅地建物取引士から物件に関する重要な情報(登記情報、法令上の制限、契約解除に関する事項など)が記載された「重要事項説明書」の説明を受けます。
- 売買契約書の確認・署名捺印
- 売買契約書の内容を十分に確認し、売主・買主双方が署名・捺印します。
- 手付金の支払い
- 契約締結の証として、物件価格の5~10%程度の「手付金」を、現金または振り込みで売主に支払います。
重要事項説明は、専門用語も多く難しい内容ですが、少しでも疑問に思ったことはその場で必ず質問し、納得できるまで説明を求めましょう。一度契約書に署名・捺印すると、簡単には解除できません。この日が、購入プロセスにおける一つの大きな山場です。
STEP6:住宅ローンの本審査・契約(期間の目安:2週間~1ヶ月)
売買契約を結んだら、金融機関に住宅ローンの「本審査」を申し込み、承認が下りたら正式なローン契約を結びます。
- 本審査の申込み
- 事前審査を通過した金融機関に、売買契約書などの必要書類を提出し、本審査を申し込みます。個人の信用情報や健康状態(団体信用生命保険加入のため)、物件の担保価値などが詳細に審査されます。
- 金銭消費貸借契約の締結
- 本審査に通過したら、金融機関との間で住宅ローンの契約を結びます。この契約により、借入額や金利、返済期間などが正式に決定します。
本審査では、事前審査よりも多くの書類(住民票、印鑑証明書、課税証明書など)が必要になります。スムーズに進めるためにも、不動産会社の担当者の指示に従い、早めに準備を始めましょう。
STEP7:残代金決済・物件の引き渡し(期間の目安:ローン契約から1~2週間後)
いよいよ最終段階です。金融機関で、売買代金の残金や諸費用を支払い、物件の鍵を受け取ります。
- 残代金の決済
- 金融機関に買主、売主、不動産会社、司法書士が集まり、住宅ローンが実行され、売主の口座に残代金が振り込まれます。
- 諸費用の支払い
- 仲介手数料や登記費用などの諸費用を支払います。
- 所有権移転登記の申請
- 司法書士が、物件の所有権を売主から買主に移すための登記手続きを法務局に申請します。
- 鍵の受け取り
- 全ての支払いが完了したら、売主から物件の鍵を受け取ります。これで、晴れてマンションはあなたのものになります。
決済・引き渡しは平日の午前中に行われるのが一般的です。関係者全員のスケジュールを調整する必要があるため、日程は早めに確定させましょう。当日は多額のお金が動くため緊張しますが、不動産会社や司法書士が段取りよく進めてくれるので安心してください。
STEP8:引っ越し・入居後の手続き
鍵を受け取ったら、いよいよ新生活のスタートです。引っ越しの準備と、入居後に必要な手続きを行います。
- 引っ越し
- 引っ越し業者を手配し、新居へ荷物を運び込みます。
- ライフラインの手続き
- 電気、ガス、水道、インターネットなどの開通手続きを行います。
- 各種住所変更
- 役所での転居届の提出、運転免許証や郵便物などの住所変更手続きを行います。
- 確定申告(住宅ローン控除)
- 住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、入居した翌年に確定申告を行うことで「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」が受けられ、所得税などが還付されます。
住宅ローン控除は、自動的に適用されるわけではなく、必ずご自身で確定申告を行う必要があります。(会社員の場合、2年目以降は年末調整で手続き可能)。忘れると大きな節税の機会を逃してしまうため、忘れずに行いましょう。
【費用編】中古マンション購入の流れで発生するお金とタイミング
中古マンション購入で気になるのが「お金」の話。物件価格に目が行きがちですが、それ以外にも様々な「諸費用」が必要になります。資金計画で失敗しないためにも、何に、いくら、いつ支払うのかを正確に把握しておきましょう。
物件価格以外に必要な「諸費用」とは?
諸費用とは、物件の購入代金とは別に、手続きのために必要となる費用の総称です。具体的には、不動産会社に支払う仲介手数料、各種税金、登記費用、住宅ローン関連費用などが含まれます。これらは基本的に現金で支払う必要があるため、自己資金の中から準備しておく必要があります。
仲介手数料から税金まで!諸費用の内訳と相場を一覧解説
主な諸費用の内訳と、費用の目安は以下の通りです。
費用項目 | 内容 | 目安 |
印紙税 | 売買契約書に貼る印紙の代金 | 1万円~3万円(物件価格による) |
仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬 | (売買価格 × 3% + 6万円) + 消費税 |
登記費用 | 所有権移転登記などを司法書士に依頼する費用 | 30万円~50万円(登録免許税+司法書士報酬) |
住宅ローン関連費用 | ローン契約の事務手数料、保証料、印紙税など | 金融機関やプランにより様々(数十万円~) |
火災保険料・地震保険料 | 万が一の災害に備える保険料 | 10万円~30万円(補償内容・期間による) |
固定資産税・都市計画税清算金 | 売主が支払った税金を日割りで精算する費用 | 数万円~ |
不動産取得税 | 不動産を取得した際にかかる税金(後日納付) | 軽減措置あり。かからない場合も多い |
諸費用の目安は物件価格の6~9%!シミュレーションしてみよう
これらの諸費用を合計すると、一般的に中古マンションの場合は物件価格の6~9%程度が目安と言われています。
【シミュレーション例:3,000万円の中古マンションを購入した場合】
- 諸費用合計
- 180万円(6%)~ 270万円(9%)
つまり、3,000万円の物件を買うためには、物件価格とは別に、約200万円前後の現金を諸費用として準備しておく必要があるとイメージしておくと良いでしょう。
いつ・誰に支払う?お金の流れをカレンダーで可視化
諸費用は、一度に支払うわけではありません。購入の流れに沿って、支払うタイミングが異なります。
- 売買契約時
- 手付金(物件価格の5~10%)→ 売主へ
- 印紙税 → 国へ(契約書に貼付)
- ローン契約時
- 印紙税 → 国へ(契約書に貼付)
- 決済・引き渡し時
- 物件の残代金 → 売主へ
- 仲介手数料(残金)→ 不動産会社へ
- 登記費用 → 司法書士へ
- ローン事務手数料・保証料 → 金融機関へ
- 火災保険料 → 保険会社へ
- 固定資産税等清算金 → 売主へ
このように、どのタイミングでいくら必要になるかを事前に把握し、資金ショートを起こさないように計画的に準備を進めることが非常に重要です。
【ケース別】ローンやリフォーム、中古マンション購入の流れのポイント
ここからは、購入者の状況によって異なる3つのケースについて、流れのポイントを解説します。ご自身の状況に近いものを参考にしてください。
住宅ローンを利用する場合の流れと必要書類リスト
ほとんどの方が利用する住宅ローン。流れの中で特に重要なのが「事前審査」と「本審査」です。審査をスムーズに進めるために、必要書類は早めに準備しておきましょう。
【主な必要書類リスト】
- 本人確認書類
- 運転免許証、パスポート、健康保険証など
- 収入を証明する書類
- 源泉徴収票(会社員)、確定申告書(自営業者)、課税証明書など
- 物件に関する書類
- 売買契約書、重要事項説明書、物件のパンフレット(登記簿謄本など)
- その他
- 住民票、印鑑証明書など
これらの書類は、金融機関や個人の状況によって異なります。必ず事前に確認し、不備のないように準備しましょう。
リフォーム・リノベーションを同時に進める流れとコツ
中古マンションを購入して、自分好みの内装にリフォーム・リノベーションしたいという方も多いでしょう。その場合、通常の購入フローにリフォームの計画を組み込む必要があります。
【リフォームを同時に進める流れ】
- 資金計画
- 物件価格にリフォーム費用を上乗せして予算を組む。
- 物件探しと並行してリフォーム会社探し
- 物件の内見にリフォーム会社の担当者に同行してもらい、希望のリフォームが可能か、費用はいくらかかるかを見積もってもらう。
- 購入申込み
- 物件の購入申込みを行う。
- リフォーム一体型住宅ローンの申込み
- 物件費用とリフォーム費用をまとめて借りられるローンを利用するのが一般的。
- 売買契約・工事請負契約
- 物件の売買契約と、リフォーム会社との工事請負契約を締結する。
- 決済・引き渡し後、リフォーム工事開始
- 物件の引き渡しが完了したら、工事をスタートします。
成功の鍵は、信頼できる不動産会社とリフォーム会社に、早い段階から連携してもらうことです。物件探しとリフォームプランニングを同時に進めることで、総予算を超えてしまう失敗を防ぎ、スムーズな資金計画が可能になります。
現金一括で購入する場合の流れとメリット・注意点
住宅ローンを利用せず、自己資金のみで現金一括購入するケースもあります。
【メリット】
- 住宅ローンの手続きが不要
- 審査やローン契約の手間と時間がかからず、購入プロセスがスピーディーに進みます。
- 金利の負担がない
- 当然ながら、ローンの利息を支払う必要がありません。
- 交渉で有利になることがある
- 売主にとっては、ローンの審査落ちで契約が白紙になるリスクがないため、価格交渉などで有利になる場合があります。
【注意点】
- 手元の資金が大幅に減少する
- 病気や失業など、万が一の事態に備えるための生活防衛資金まで使い込まないよう注意が必要です。
- 住宅ローン控除が利用できない
- 大きな節税メリットである住宅ローン控除は受けられません。
- 団体信用生命保険に加入できない
- ローンに付帯する団信(契約者に万一のことがあった際にローン残債がゼロになる保険)の代わりとなる生命保険などを別途検討する必要があります。
まとめ
今回は、中古マンション購入の全体像と期間、そして8つのステップごとの具体的な流れを詳しく解説しました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
- 購入の全体像は8ステップ。期間の目安は3ヶ月~6ヶ月。
- 最初の「資金計画」がとても重要。「無理なく返済できる額」から予算を立てる。
- 物件価格以外に、物件価格の6~9%程度の「諸費用」が現金で必要になる。
- 流れの中で、重要事項説明、売買契約、残代金決済が特に重要。
たくさんのステップがあり、不安に感じたかもしれません。しかし、一つひとつのステップでやるべきことを理解し、信頼できるパートナー(不動産会社)と協力すれば、理想の住まいを手に入れることは決して難しいことではありません。
この記事で得た知識を「地図」として、まずは「STEP1:資金計画」から、あなたのマイホーム探しの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。あなたの素晴らしい住まい探しを、心から応援しています!