不動産の購入は人生の中でも大きな買い物ですが、何から始め、どう進むのか、流れが複雑で不安ではありませんか?特に「資金計画と物件探し、どっちが先?」「契約の専門用語が怖い」と感じる方も多いはずです。
この記事では、検討開始の「資金計画」から「物件探し」、「契約」や「ローン手続き」、「引き渡し」まで、初心者が知っておくべき全手順を徹底解説します。
各ステップで「いつ・何をすべきか」が明確になり、購入プロセスの全体像を掴めるのがメリットです。読み終えれば、複雑な手続きへの不安が解消され、次に何をすべきかが具体的に分かり、安心して理想の住まい探しへの第一歩を踏み出せるようになります。
まずは、購入までの大まかな流れ(全6ステップ)を把握しましょう。
【不動産購入の全体像:6つのステップ】
- Step 1. 資金計画と予算決め(検討開始~約1ヶ月)
- Step 2. 物件探しと内見(約1~3ヶ月)
- Step 3. 購入申込みと売買契約(約2週間~1ヶ月)
- Step 4. 住宅ローン本契約(約2週間~1ヶ月)
- Step 5. 残金決済と物件引き渡し(契約から約1ヶ月後)
- Step 6. 入居と購入後の手続き
この記事では、この6つのステップを一つずつ詳しく解説していきます。
不動産の購入、最初のステップは「資金計画」から
不動産の購入を考え始めたとき、多くの初心者が「まずはSUUMOやHOME’Sで物件探しから」と考えがちです。しかし、これは失敗のもと。不動産購入の成功の鍵となる重要なステップです。
なぜ「物件探し」の前に「資金計画」が必要なのか?
理由はシンプルで、「買える金額」と「買うべき金額」を知らずに物件探しを始めると、冷静な判断ができなくなるからです。
先に魅力的な物件を見てしまうと、「少し予算オーバーだけど、こんな素敵な家に住みたい」という感情が先行しがちです。しかし、その「少し」が後々の住宅ローン返済で大きな負担となり、生活を圧迫するケースは少なくありません。
先に「自分はいくらまでなら無理なく返済できるのか」という予算を確定させることで、初めて効率的で安全な物件探しが可能になります。
物件価格以外に必要!不動産購入の「諸費用」とは
不動産購入で絶対に見落としてはいけないのが「諸費用」の存在です。これは、物件の価格とは別に、手続きなどのために現金(または住宅ローンに含めて)支払う必要のあるお金です。
この諸費用を考慮せずに物件価格だけで予算を組むと、契約直前になって「現金が足りない!」という最悪の事態に陥ります。
諸費用の目安は、物件の種類によって異なります。
- 新築物件の場合
- 物件価格の3%~7%程度
- 中古物件の場合
- 物件価格の6%~10%程度
※上記は目安であり、物件や手続き内容により大きく変動します
(例)4,000万円の中古マンションを購入する場合、諸費用として約240万~400万円が別途必要になる計算です。中古物件の諸費用が高くなりがちなのは、売主と買主の間に入る「仲介手数料」がかかるためです。
諸費用の内訳と目安(仲介手数料・登記費用・税金・ローン保証料など)
主な諸費用の内訳は以下の通りです。これらは物件や金融機関によって変動します。
| 諸費用の種類 | 概要と目安 |
| 仲介手数料 | 不動産会社(仲介業者)に支払う成功報酬。(中古物件の場合)(計算式例)物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税が上限として宅地建物取引業法で定められている。 |
| 登記費用 | 物件を自分の名義にするための費用。 ・登録免許税(税金) ・司法書士報酬(手続き代行料) |
| 税金 | ・印紙税(売買契約書やローン契約書に貼る印紙代) ・不動産取得税(購入後にかかる税金) ・固定資産税・都市計画税(日割り清算金) |
| ローン関連費用 | 金融機関に支払う費用。 ・ローン事務手数料(数万円~借入額の2.2%など) ・ローン保証料(連帯保証人の代わり。金利上乗せor一括) |
| 保険料 | ・火災保険料・地震保険料(ローン利用時は加入必須) |
自分の「予算」を知る方法(年収の何倍?返済比率とは)
予算を決める際、よく「年収の〇倍まで」という目安(一般的に5〜7倍)を聞きますが、これはあくまで簡易的な目安です。家族構成やライフスタイルによって、適切な借入額は異なります。
重要な指標は「返済比率(返済負担率)」です。これは、年収(額面)に占める年間のローン返済額の割合を指します。
(例)年収500万円の人が、年間120万円(月10万円)返済する場合
120万円 ÷ 500万円 = 返済比率 24%
一般的に、無理のない返済比率は「手取り年収の20%~25%以内」とされています。金融機関は額面年収の30%~35%程度まで貸してくれることもありますが、それでは生活が苦しくなる可能性が高いため、必ず「手取り」で計算しましょう。
住宅ローンの「事前審査」を先に行うメリットと手順
「自分はいくら借りられるのか」を正確に把握するために、物件探しと並行して(できれば先に)行うべきが「住宅ローンの事前審査(仮審査)」です。
事前審査とは、金融機関が「この人になら、いくらまで貸せそうか」を簡易的に審査するものです。
【メリット】
- 正確な予算が確定する
- 自分が借りられる上限額が分かり、予算が確定します。
- 不動産会社や売主からの信頼度が上がる
- 「本気で買う気があり、支払い能力もある客」と見なされ、交渉や手続きがスムーズに進みます。
- 人気の物件を逃さない
- 良い物件はスピード勝負です。事前審査を済ませておけば、すぐに購入申込みができます。
事前審査は、Webサイトから無料で申し込める金融機関も多く、源泉徴収票や本人確認書類があれば数日~1週間程度で結果が出ます。
不動産の購入、希望条件の整理と「物件探し」の手順
資金計画が固まり、予算が確定したら、いよいよ具体的な物件探しに移ります。(目安期間:約1~3ヶ月)
希望条件の「優先順位」を決めるコツ(エリア・間取り・新築/中古)
予算内で100%満足できる物件に出会うことは稀です。そこで重要なのが「希望条件の優先順位付け」です。
まずは家族で「絶対に譲れない条件(Must)」と「できれば欲しい条件(Want)」を書き出してみましょう。
- Must(必須条件)の例
- 予算:〇〇万円以内
- エリア:〇〇駅まで徒歩15分以内(通勤・通学のため)
- 間取り:3LDK以上(子供部屋が必要なため)
- Want(希望条件)の例
- 新築(または築浅)
- 南向きのバルコニー
- 対面キッチン
- 駅徒歩5分以内
予算とエリアは重要な「Must」条件になることが多いです。優先順位が明確であれば、物件の取捨選択(トレードオフ)で迷うことが少なくなります。
物件の探し方(ポータルサイト vs 不動産会社)
物件の探し方は、大きく分けて2つあります。
- 不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME’Sなど)
- メリット: 膨大な物件情報をスマホやPCで手軽に比較検討できる。相場観を養える。
- デメリット: 情報が多すぎる。契約済み物件が更新のタイミングなどで含まれている場合があります。
- 不動産会社(仲介業者)への相談
- メリット: ポータルサイトに掲載される前の「非公開物件」や「未公開物件」を紹介してもらえることがある。プロの視点でアドバイスがもらえる。
- デメリット: 担当者との相性が合わないとストレスになる。
最初はポータルサイトで広く情報を集め、相場観を掴んだら、気になる物件を扱う不動産会社や、希望エリアに強い地元の不動産会社に相談し、両方を併用するのが王道です。
信頼できる不動産会社選びの4つのポイント
不動産購入の成否は、パートナーとなる不動産会社の担当者次第とも言えます。以下の点に注目して選びましょう。
- 免許番号の確認
- 「国土交通大臣(〇)第〇号」や「東京都知事(〇)第〇号」と記載されています。()内の数字が大きいほど営業歴が長い目安になります。
- レスポンスの速さと正確さ
- 質問への返信が早く、内容が的確か。
- デメリットの開示
- 物件の良い点だけでなく、悪い点(騒音、日当たりなど)も正直に伝えてくれるか。
- ヒアリングの丁寧さ
- こちらの希望条件やライフプランを丁寧に聞き出し、それに沿った提案をしてくれるか。
「内見(内覧)」で必ずチェックすべき場所(室内・共用部・周辺環境)
気になる物件が見つかったら、必ず現地で「内見(内覧)」を行います。図面だけでは分からない情報を五感で確認する重要なステップです。
- 室内
- 日当たりと風通し: 時間帯(朝・昼・夕)を変えて確認できるとベスト。
- 水回り: 臭い、水圧、カビ、収納スペース。
- 収納: クローゼットや押入れの広さと奥行き。
- 生活動線: 家事(料理、洗濯)がしやすいか、家具の配置は可能か(メジャー持参)。
- 共用部(マンションの場合)
- 管理状態: エントランス、ゴミ置き場、駐輪場が清潔に保たれているか(管理組合の質が分かる)。
- 掲示板: トラブルに関する貼り紙がないか。
- 周辺環境
- 最寄り駅までの実際の時間: 必ず自分の足で歩いて測る(坂道や信号の多さ)。
- 生活利便性: スーパー、コンビニ、病院、学校などの場所。
- 環境: 騒音(大通り、線路)、臭い(飲食店、工場)、治安(夜道の明るさ)。
中古マンション・戸建て購入の特有の注意点(新耐震基準・リフォーム履歴の確認)
中古物件は価格が魅力ですが、新築にはない注意点があります。
- 耐震基準
- 1981年(昭和56年)6月1日以降の「新耐震基準」で建てられているか(建築確認日で確認)。これ以前の旧耐震物件は、住宅ローン控除が使えない、ローン審査が厳しいなどの制約があります。
- リフォーム・修繕履歴
- (マンションの場合)長期修繕計画が適切か、修繕積立金が不足していないか。(戸建ての場合)過去の雨漏りやシロアリ被害の履歴はないか。
- リフォームの必要性
- 購入後にどれくらいリフォーム費用がかかりそうか、購入予算と合わせて考えておく必要があります。
不動産の購入、「申込み」から「売買契約」までの流れ
内見を経て「この物件を買いたい!」と決意したら、いよいよ法的な手続きに入っていきます。専門用語が多く、緊張する場面ですが、一つずつ理解すれば怖くありません。(目安期間:約2週間~1ヶ月)
気になる物件が見つかったら「購入申込書(買付証明書)」を提出
買いたい物件が決まったら、まずは不動産会社を通じて売主に「購入申込書(買付証明書)」を提出します。
これは「私はこの物件を、この金額で、この条件(ローン利用など)で買いたいです」という意思表示の書面です。
- 価格交渉
- 物件価格について交渉(指値)したい場合は、この申込書に希望金額を記載して行います。
- 法的拘束力
- この時点ではまだ法的な拘束力はなく、キャンセルしてもペナルティはありません(ただし、安易なキャンセルは信用を失います)。
- スピード勝負
- 人気物件は複数の申込みが入ることがあります(早い者勝ちとは限りませんが、意思表示は早い方が有利です)。
「重要事項説明(重説)」とは?
売主が「あなたに売ります」と承諾したら、「売買契約」の締結に進みます。そして、契約の「直前」に、不動産会社(宅地建物取引士)が買主に対して行う、重要な説明が「重要事項説明(重説)」です。
これは、購入する物件に関する法的な制限、権利関係、インフラ状況、契約条件など、買主が知っておくべき「不利な情報も含めた」すべての重要事項を、専門家が説明する義務です。
非常に難解な内容が含まれますが、ここで聞き流してしまうと、後で「知らなかった」では済まされません。分からないことはその場で必ず質問しましょう。
「重説」で確認すべき主要チェックポイント(権利関係・法令制限など)
重説は分厚い書類になりますが、特に以下の点は命取りになりかねないため、集中して確認してください。
- 登記簿に関する事項
- 権利関係: 売主が本当の所有者か。他に権利者(共有者)はいないか。
- 差押え・抵当権: 借金のカタ(抵当権)がついていないか(※通常、決済時に抹消されますが、その条件を確認)。
- 法令上の制限
- 用途地域: 工場が建てられる地域ではないか、など。
- 接道義務(戸建て): 建築基準法上の道路に接しているか(接していないと再建築不可)。
- 建ぺい率・容積率: 将来の建て替えに制限がないか。
- インフラの整備状況
- 電気・ガス・水道(公営か私営か、前面道路まで来ているか)。
- マンションの場合
- 管理規約: ペット飼育の可否、リフォームの制限など。
- 管理費・修繕積立金: 金額と、滞納者の有無。
- 契約の解除に関する事項
- 手付解除の期限、違約金、住宅ローン特約について(後述)。
- ハザードマップ
- 洪水、土砂災害などのリスク区域に入っていないか。
「売買契約書」の締結と「手付金」の支払い
重要事項説明に納得し、署名・捺印したら、続いて「不動産売買契約書」の読み合わせと署名・捺印に移ります。重説と内容が重複する部分も多いですが、契約書は「売主と買主の間の約束事(義務や権利)」が中心に記載されます。
契約書に双方が署名・捺印した時点で、契約は法的に成立します。
そして、契約成立の証として、買主は売主に「手付金」を支払います(通常は現金または小切手)。
- 手付金の相場
- 物件価格の5%~10%程度。(例:4,000万円の物件なら200万~400万円)
- 手付金の役割
- この手付金は、売買代金の一部に充当されますが、同時に「解約手付」としての意味を持ちます。
契約後にキャンセルは可能?「手付金の放棄」と「違約金」
一度成立した契約は、原則として一方的に解除できません。しかし、一定のペナルティを払うことで解除できる仕組みがあります。
- 手付解除(自己都合)
契約書で定められた期限内(通常「売主が履行に着手するまで」)であれば、以下のペナルティで解除できます。- 買主から解除する場合: 支払った手付金を放棄する(手付金は戻ってこない)。
- 売主から解除する場合: 受け取った手付金を倍額にして買主に返す。
- 違約(契約違反)
手付解除の期限を過ぎた後や、どちらかが契約内容を守らなかった(例:買主が残金を払えない)場合は「契約違反」となり、違約金(通常、物件価格の10%~20%)を請求される可能性があります。
【初心者のための重要知識:住宅ローン特約】
唯一の例外が「住宅ローン特約」です。これは「もし住宅ローンの本審査に通らなかった場合は、この契約をペナルティなし(手付金も全額返金)で白紙撤回できます」という買主を守るための重要な特約です。この特約が契約書に盛り込まれているか、必ず確認してください。
不安な点を解消する「契約不適合責任」とは
中古物件で特に重要なのが「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」です。
これは、購入後に、契約書に記載されていなかった重大な欠陥(例:雨漏り、シロアリ、主要構造部の腐食など)が発覚した場合、買主が売主に対して修理(追完請求)や代金減額、損害賠償、契約解除を求めることができる権利です。
中古物件の個人間売買では、売主の負担を軽減するため、この責任を負う期間を「引き渡しから3ヶ月間」などに短縮したり、古い物件では「免責(一切責任を負わない)」とする特約が付くことが非常に多いです。契約時に必ず確認しましょう。
不動産の購入、「住宅ローン契約」と「残金決済・引き渡し」
売買契約が無事に終わると、次は住宅ローンの本申込みと、最終的な決済(お金の支払い)に進みます。(目安期間:契約後~約1ヶ月)
住宅ローンの「本審査」と「金銭消費貸借契約(金消契約)」
売買契約を締結したら、すぐに住宅ローンの「本審査」を申込みます。事前審査でOKが出ていても、ここで正式な売買契約書や重要事項説明書などを提出し、より厳格な審査が行われます。
本審査に無事通過(承認)したら、次はその金融機関と「金銭消費貸借契約(金消契約)」を結びます。これが正式な「ローンの契約」です。
金利タイプの選び方(変動金利 vs 固定金利)と金融機関の選び方
金消契約の際に、最終的な金利タイプを決定します。
- 変動金利
- メリット:固定金利より金利が低い。
- デメリット:将来、金利が上昇するリスクがある。
- 固定金利(全期間固定、当初〇年固定など)
- メリット:返済額が変わらないため、将来の計画が立てやすい。
- デメリット:変動金利より金利が高い。
どちらが良いかは、その人の経済状況やリスク許容度によります。金利だけでなく、事務手数料や、万が一の際にローン残高がゼロになる「団体信用生命保険(団信)」の内容(がん保障が付くかなど)も比較し、金融機関を選びましょう。
「残金決済」当日の流れと必要なもの(司法書士の役割)
金消契約から数週間後、ついに「残金決済日」を迎えます。これは売買代金の残額すべてを支払い、物件の所有権を正式に移転する日です。
通常、平日の午前中に、買主側の金融機関(ローンを借りる銀行)の応接室などで行われます。
【当日の登場人物】
- 買主(あなた)
- 売主
- 不動産会社(仲介)
- 司法書士(登記の専門家)
【当日の流れ】
- 本人確認・書類確認
- 司法書士が、買主・売主の本人確認と、所有権移転に必要な書類がすべて揃っているか最終確認。
- 融資実行
- 買主の口座に、金融機関から住宅ローン(融資金)が振り込まれる。
- 残金支払い
- 買主は、自分の口座から売主の口座へ、売買代金の残額を振り込む。
- 諸費用支払い
- 同時に、仲介手数料の残額や、司法書士への登記費用なども振り込む。
- 登記申請
- すべての着金が確認できたら、司法書士がその足で法務局へ行き、「所有権移転登記」と「抵当権設定登記」を申請する。
「所有権移転登記」と「抵当権設定登記」とは
決済日に司法書士が行う「登記」は2種類あります。
- 所有権移転登記
物件の名義を「売主」から「買主(あなた)」に変更する手続き。これが完了して初めて、法的にあなたの所有物となります。 - 抵当権設定登記
金融機関が、万が一あなたがローンを返せなくなった場合に備え、その物件を担保に取る権利(=抵当権)を設定する手続き。住宅ローンを組む際は必須です。
ついに「鍵の引き渡し」!火災保険の加入も忘れずに
すべての支払いが完了し、司法書士が登記申請に出発した(または登記申請が受理された)時点で、売主から買主へ、物件の「鍵の引き渡し」が行われます。
これで、名実ともに物件はあなたのものとなります。
なお、住宅ローンを利用する場合、火災保険への加入は「決済日(引き渡し日)まで」に必須となります。決済日までに手続きを完了させ、保険証券のコピーなどを金融機関に提出しておく必要があります。
不動産の購入後に必要な手続き(入居・税金・確定申告)
引き渡しが終わっても、まだやるべきことは残っています。特に「税金」に関する手続きは重要です。
引越しと入居の手続き(ライフライン・住所変更など)
決済(引き渡し)が終われば、いつでも引越し可能です。引越し業者の手配と並行して、以下の手続きを進めましょう。
- 電気、ガス、水道の開栓手続き(ネットや電話で事前に予約)
- 役所での手続き(転入届・転居届)
- 運転免許証、銀行、クレジットカードなどの住所変更
忘れた頃にやってくる「不動産取得税」と軽減措置
物件の購入(引き渡し)から約3ヶ月~半年後、都道府県税事務所から「不動産取得税」の納税通知書が届きます。
これは、不動産を取得したことに対して一度だけかかる税金です。
ただし、居住用の物件には大幅な「軽減措置」があります。多くの新築・中古物件では、この軽減措置を申請すれば、税額がゼロまたは大幅に減額されます。通知書が届いたら、記載されている期限内に必ず「軽減措置の申請」を行ってください。
「住宅ローン控除(減税)」を受けるための「確定申告」(初年度)
住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、年末のローン残高に応じて、所得税や住民税が戻ってくる「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」という強力な制度があります。
この控除を受けるため、購入した翌年の初年度は、会社員であっても必ず自分で「確定申告」を行う必要があります。
(例:2025年中に購入・入居した場合、2026年の2月~3月に確定申告を行う)
※2年目以降は、会社員であれば会社の年末調整で手続きが完了します。
毎年かかる税金「固定資産税・都市計画税」の目安
不動産を所有している限り、毎年かかり続ける税金が「固定資産税」と「都市計画税」です。
毎年1月1日時点の所有者に対して課税され、その年の4月~6月頃に市区町村から納税通知書が届きます(年4回の分納または一括納付)。
これも新築物件や居住用物件には軽減措置がありますが、購入後も継続的に発生するコストとして、資金計画の段階から見込んでおく必要があります。
まとめ
不動産の購入は、非常に多くのステップと専門知識が必要な、まさに一大プロジェクトです。
この記事では、不動産購入の「流れ」を6つのステップ(①資金計画、②物件探し、③契約、④ローン、⑤決済・引き渡し、⑥購入後)に分けて、初心者が知っておくべき手順を徹底解説しました。
複雑に見える流れも、一つひとつのステップで「何をすべきか」を分解して把握すれば、決して怖いものではありません。この記事によって、あなたの漠然とした不安が解消され、購入までの全体像が明確になっていれば幸いです。
不動産購入の第一歩は、専門家をうまく活用することです。まずは「自分がいくら借りられるのか」「諸費用は総額でいくらか」を正確に把握するため、金融機関のローンシミュレーションや、信頼できる不動産会社の無料相談を活用することから始めてみましょう。


