リート(REIT)とは?投資初心者にもわかりやすく仕組みやメリットを徹底解説

不動産投資について調べるとよく目にする「リート(REIT)」ですが、どんなものなの?と疑問に思っていませんか?

「不動産投資には興味があるけれど、数千万円ものローンを組むのは怖い」

「株は値動きが激しすぎて、毎日チェックするのが疲れる」

もしあなたがそう感じているなら、リートはまさにうってつけの選択肢かもしれません。本記事では、リートの仕組みから、株式や現物不動産との決定的な違い、そして「おすすめしない」と言われるリスクの正体までを徹底解説します。

読み終える頃には、難しい専門用語もクリアになり、自分に合った銘柄を選んで、資産形成の第一歩を踏み出すための知識が身につきます。まずは基本から一緒に見ていきましょう。

目次

リート(REIT)とは?基本的な仕組みとJ-REITの特徴

まずは、「リートとは何なのか?」という基本のキから解説します。一言で言えば、「みんなでお金を出し合ってプロに不動産運用を任せ、その利益を山分けする仕組み」です。

リート(REIT)の仕組み

REIT(リート)は、Real Estate Investment Trustの略で、直訳すると「不動産投資信託」となります。

通常の不動産投資(現物投資)では、あなたが自分でアパートやマンションを1棟、あるいは1部屋購入しなければなりません。しかし、REITでは「投資法人」という会社のような箱が、多くの投資家から資金を集めます。

その集めた巨額の資金を使って、投資法人がオフィスビル、マンション、商業施設、物流倉庫などの不動産を複数購入します。

そこから生まれる「賃料収入」や、不動産を売った時の「売却益」から、経費を差し引いた利益を、投資家(あなた)に「分配金」として還元するのです。

  • 投資家
    • 資金を出す ➡ 分配金を受け取る
  • 投資法人(REIT)
    • 資金で不動産を買う ➡ 賃料を受け取る ➡ 投資家に還元する

あなたは不動産の管理やテナント募集をする必要は一切ありません。投資証券(株券のようなもの)を買うだけで、間接的に複数の不動産のオーナーになれるのです。

J-REIT(ジェイ・リート)とは?

ニュースなどでよく耳にする「J-REIT(ジェイ・リート)」の「J」は、Japan(日本)のJです。

アメリカで生まれたREITの仕組みを、日本の法律に合わせて導入したものがJ-REITであり、現在は東京証券取引所などに上場しています。

J-REITの大きな特徴は、日本の法律による厳しい規制と、税制優遇がある点です。

実はJ-REITには、「利益の90%超を投資家に分配すれば、法人税が実質的に免除される」という特別なルールがあります。一般的な企業(株式投資)は、利益から法人税を引き、さらに内部留保(貯金)をした残りを配当に回しますが、J-REITは法人税として差し引かれる分を抑え、利益の多くを投資家に配当原資として回すことができる仕組みになっています。 

これが、J-REITが一般的な株式よりも比較的高い利回りを維持できる秘密です。

※投資家が受け取る分配金には所定の税金がかかります(ただし、NISA口座を活用した場合は非課税となります)。

リートと現物不動産・株式投資の違いとは?メリット・デメリットを比較

「結局、株やアパート経営と何が違うの?」という疑問を解消するために、主な違いを比較表にまとめました。

項目J-REIT(リート)現物不動産投資株式投資
投資対象不動産(間接保有)アパート・マンション企業の事業活動
必要資金数万円〜数百万円〜数億円数万円〜
流動性(換金性)高い(市場ですぐ売れる)低い(売却に数ヶ月)高い
手間なし(プロにお任せ)あり(管理・修繕など)なし
主な収益源賃料収入(安定的)賃料収入業績(変動大きい)
リスク価格変動・金利上昇空室・災害・流動性業績悪化・倒産

現物不動産投資との違いは「金額」と「手間」

現物不動産投資は、ローンを活用して「レバレッジ(てこの原理)」を効かせ、大きな資産形成や相続税対策ができるのが最大のメリットですが、まとまった資金や管理の手間が必要です。 一方、リートはレバレッジ効果は低いものの、少額から手軽に始められるのが特徴です。「まずはリートで不動産投資の感覚を掴み、資金が増えたら現物不動産へ」といったステップアップも一つの考え方です。

リートは数万円〜数十万円程度から購入可能です。借金をする必要はありませんし、不動産の管理はすべてプロが行います。お小遣いの範囲で、都心の一等地のオフィスビルや有名ホテルの「オーナーのような感覚」で、少額から投資に参加できるのが大きなメリットです。

また、現物不動産は「売りたい」と思っても買い手が見つかるまで数ヶ月かかりますが、上場しているJ-REITなら、スマホ一つでその日のうちに売却して現金化できます(流動性が高い)。

株式投資との違いは「利回りの安定性」

株式投資は、企業の「成長」に投資するものです。新商品がヒットすれば株価は数倍になりますが、業績が悪化すれば無配(配当なし)になることもあります。

対してリートの主な収益源は「賃料」です。景気が多少悪くなっても、企業や人が急に全員退去するわけではないため、収益が比較的安定しています。

前述の通り「利益の90%超を配る」ルールがあるため、一般的に株式よりも配当利回りが高くなる傾向があります。「一発逆転の大儲け」は難しいですが、「コツコツとインカムゲイン(現金収入)を得る」のに適しています。

投資信託との違いは「市場でのリアルタイム取引」

銀行などで買える一般的な「投資信託(ファンド)」は、1日に1回決まる「基準価額」で売買します。注文を出しても、いくらで買えたかが分かるのは翌日以降です。

しかし、J-REITは株式と同じように証券取引所に上場しているため、市場が開いている間はリアルタイムに価格が変動します。「今、この値段で買いたい(指値注文)」という取引ができるのも、投資信託とは異なる点です。

「リートはおすすめしない」は本当?知っておくべきリスクと注意点

インターネットで検索すると「リート おすすめしない」「リート やめとけ」といった言葉を見かけて不安になった方もいるでしょう。

結論から言うと、「リスクを知らずに、銀行預金感覚で買うと痛い目を見る」からおすすめしないと言われるのです。プロとして、ネガティブな面も隠さず解説します。

価格変動と上場廃止のリスク

まず大前提として、J-REITは元本保証ではありません。

「不動産だから安心」と思いきや、株式と同じように価格は毎日変動します。経済ショック(リーマンショックやコロナショックなど)が起きれば、一時的に価格が半値近くまで暴落することもあります。

また、極めて稀ですが、運営する投資法人が倒産したり、上場廃止になったりするリスクもゼロではありません。「絶対に損をしたくない資金」を全額投入するのは避けるべきです。

金利上昇や自然災害がリート価格に与える影響

リートにとっての天敵は「金利の上昇」です。

リートは投資家からのお金だけでなく、銀行から多額の借金をして不動産を買っています。そのため、世の中の金利が上がると、銀行への返済利息が増え、投資家に配る利益(分配金)が減ってしまうのです。

また、金利が上がると「リートを買うより債券を買ったほうが安全でいい」と考える投資家が増えるため、リートの価格自体も一般的に下がりやすくなります。

さらに、実物の不動産を保有しているため、地震・台風・火災などの自然災害リスクも直接受けます。保険には入っていますが、大規模災害で建物が倒壊すれば、大きな損失となります。

それでも「おすすめ」できる人の特徴

リスクはありますが、それでもリートは魅力的な商品です。以下の特徴に当てはまる人に向いていると言われています。

  • 銀行に預けている現金を、少しでも働かせて配当を得たい人。
  • 日々の激しい株価変動に一喜一憂せず、長期(5年〜10年)で保有できる人。
  • すでに株を持っており、資産の一部を不動産に分散させたい人。

「リスクがある=悪」ではなく、「リスクとリターンはセット」です。リスクを理解した上で付き合えば、リートはあなたの心強い「不労所得の源泉」になります。

自分に合うのはどれ?J-リート(REIT)の種類と選び方

現在、J-REITには約60近くの銘柄があります。「どれを買えばいいかわからない」という方のために、選び方のポイントを整理しました。

投資対象による6つのタイプ(住居・オフィス・物流・ホテル他)

J-REITは、どんな不動産を持っているかによってタイプが分かれます。

  1. オフィスビル特化型
    • 都心のオフィスが中心。景気が良いと賃料が上がりやすいが、不景気やリモートワーク普及の影響を受けやすい。
  2. 住居特化型
    • マンションが中心。景気に左右されず家賃は一定なので、比較的安定しており初心者向き
  3. 商業施設特化型
    • ショッピングモールなど。テナントの売上に賃料が連動する契約の場合があり、景気動向によって収益にやや波がある。
  4. 物流施設特化型
    • 通販(EC)拡大で需要急増中の倉庫など。近年非常に人気があり、成長性が高い。
  5. ホテル特化型
    • 観光客数に直結。インバウンド需要で爆発力はあるが、コロナ禍のような事態には極めて弱い。
  6. ヘルスケア施設特化型
    • 老人ホームなど。高齢化社会で需要は堅調。

単一用途型と複合型・総合型の違い

一つの用途に絞った「単一型」はわかりやすい反面、その業界がダメになると大ダメージを受けます(例:コロナ禍でのホテル型)。

初心者は、オフィス・住居・商業施設などをバランスよく持っている「総合型」や、住居とオフィスを組み合わせた「複合型」を選ぶと、自動的にリスク分散ができて安心です。

銘柄選びに迷ったら「REIT ETF」という選択肢も

「60銘柄から1つなんて選べない!倒産リスクも怖い!」

そんな方には、「J-REIT ETF(上場投資信託)」という選択肢も有効です。 これを1つ買うことで、日本の不動産市場全体に分散投資しているのと近い効果が期待できます。 個別の銘柄を選ぶ楽しみはありませんが、手間を抑えて市場平均並みの運用を目指したい方にとって、検討しやすい手法の一つと言えるでしょう。

まとめ

リート(REIT)は、私たち個人投資家が少額から参加できる「不動産投資の民主化」とも言える画期的な仕組みです。

  • 数万円から不動産投資が可能
  • プロが運用し、手間がかからない
  • 株より比較的利回りが高く、安定した分配金が期待できる

もちろん金利上昇などのリスクはありますが、長期的な視点で、NISAを活用しながらコツコツ保有すれば、あなたの将来を支える資産の一つとなる可能性があります。

まずはネット証券のランキングや、J-REIT ETFをチェックすることから始めてみませんか?その小さな一歩が、将来の大きな「分配金(不労所得)」につながるかもしれません。

※本記事はREIT(不動産投資信託)に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。 投資には価格変動リスクや元本割れのリスクがあります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任で行ってください。 本記事に記載された情報は執筆時点のものであり、将来の市場環境や税制の変更等を保証するものではありません。

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